ゼネコン時代に培ったこと~良い空間の見分け方

最初の就職先

短大を卒業して初めて就職したのは、岡山のゼネコンで 松本組株式会社でした。入社1年後、社名変更があり「まつもとコーポレーション」と改名されました。

入社した当初は、ゼネコン=堅いのイメージを払拭しようと、ユニークな試みをしていました。その一環である新社屋建設は、安藤忠雄氏推薦のイギリス人建築家デイビット・チッパーフィールド氏による設計。イベントホールやおしゃれな社内カフェもあり、オフィスビルとしてはかなり斬新な造りでした。設計は、当時、若手建築家のデイビット・チッパーフィールド氏。2013年には、世界文化賞の建築部門受賞者にもなり今や大御所建築家です。安藤忠雄氏は、先見の明があったのですね。

なんと、最初のうちは、社内カフェでワインも飲めました。(昼間っからでも・・流石に飲みませんが・・・)社内セミナーとして「ワインの会」なども開催して、とても楽しかったです。

私は、女性として初めての技術者採用ということで、建築部の施工図担当となりました。短大卒だし、補助的な仕事だろうと・・・気楽に考えていたのですが、大間違い!! どっぷり 専門的な技量を要求され・・・とにかく 仕事をこなすので精一杯。休みの日も 専門書を読みあさっていました。短大卒だから、技術的な勉強が浅いという 大卒の方に対するコンプレックスもあったし、「女には図面は描けない」という冷ややかな視線をくつがえしたい気持ちもありました。

私は、日頃、ぼっーとしていて 気が弱い方なのですが、負けん気が・・・強いのです。時々、顔を出します。あと、実は、数学が得意で、変に自信もあったかな。(施工図は、納りを考えるとき、微分積分の世界です。建築物に円形があるととっても計算が複雑・・・)仕事の量をこなせば、仕事を覚えれる。ちょっとでも仕事を沢山こなしたい。と頑張っていたら、深夜残業が日常化。でも、そうやって頑張っていると、だんだん現場監督からも信頼してもらえるようになって、嬉しかったです。今では、いい思い出! もうあんなに 働きたくない・・かな。若い時しかできないですね。

今思えばラッキー

闇雲に仕事できたのも、建築図面を見るのが好き なんです。そういう意味では、ラッキーだったと思います。毎日毎日、設計図を読み解くのが 施工図を描く上で重要な仕事なのです。

施工図って馴染みのない図面ですが、設計図を元に 職人さんの仕事範囲がわかるよう現場で使用する図面のことです。私は、主に コンクリートの型枠や配筋を作るための図面やタイル割り図面などを描いていました。

正直言って、設計図にも いろいろなレベルがあるのです。施工のこと解ってるなぁという素晴らしい図面や 全く施工のこと考えてない図面や いろいろです。だから、現場監督と相談して、実現化出来る納りとなるよう知恵を絞らないといけない場合もあります。といか、その作業がほとんど。中には、建築法規違反になる寸法のまま確認申請も通過したプランもあり、法規集と格闘しました。何時間も図面と睨みっこして、どこが納まってないのか、法規の間違いはないか探すのです。マンションなど単純な構造ならいいのですが、複雑な構造の建築物は、上司から「ここはどうする」とチェックされる日々。チェックなしで現場に出せる施工図レベルまで、まだまだなれませんでした。

それでも、図面を読めるようになると すごく楽しいです。毎日毎日、図面と睨めっこしていると、だんだん頭の中に建物が出現して、ここは下の階とくっつかないよ!とか屋根のカタチとアプローチが取り合わないよ!とか解ってきます。頭で描いていたものが現実になる面白さがたまりませんでした。

私の強み

設計図を眺めていると、その建物の中をするする歩き回ることができます。今の、インテリア提案で一番役に立っているスキルは、ゼネコン時代に培うことが出来ました。図面さえあれば、廊下から部屋に入った時の映像が頭に浮かぶので、どこに何を置いたら素敵な部屋になるか ポイントが手に取るように解ります。

なので、パースを描くのは その自分のイメージをお客様に伝えたい 出来たら、私の頭の中のイメージ画像をそのまま見てください、という感じです。そのうち技術がすすんだら、バーチャル画像とかあるのかな・・・手で描く方が早そうですね。

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